三ツ星★★★人生

勢いで会社を辞めた元女SEのその後

勢いつけなきゃ会社なんて辞められない

小さく副業から始めて、ビジネスが軌道に乗り始めてから辞めるつもり。

そうやって二の足を踏んで、気付いたら28歳。ようやく本日、退職願を書きました。

 

よく、「会社 辞める」などでGoogle検索すると、

・勢いで会社を辞めてはいけない

・きちんと計画を立ててうにゃうにゃ

・会社をやめたいと思ったときに考えるべきこと

・勢いで会社辞めて後悔してます

みたいなのが上位に表示されますが、もうそんなの関係ないと思うことにしました。

所詮顔の見えない人間が無責任に書いていることだし、勢いで辞めて失敗するかどうかなんて誰にも分からない。別に失敗しても死ぬわけじゃないし、わたしのことを何も知らない人達が勝手に言っているだけのことです。そんなものを忠実に守ることに、何の意味があるのか?自分はどうするのが良いのか、きちんと自分の性格や置かれた状況と向き合って考えるべきだと。

 

 

現状は、ビジネスが軌道に乗り始めるどころか、まだきちんとアイデアすら固まっていない状態です。明確に起業の意志が固まるまでに3年間、固まってから1年間経ちましたが、定時に帰ってもYouTubeで動画を見たり、映画を見たり、ビールを飲んだり。休日もほとんど家から出ず、ずっとネットサーフィンをしています。「会社を辞めるために、起業の準備をしなきゃいけないのに」と思いながらも身体が動かない。動画を観るのをやめられない。一時期は、なんでも良いからネットに落ちているドラマやアニメの動画サイトをから適当に選んで、全話ぶっ続けで観続ける、なんてこともしていました。

 

ファンタジーの世界にのめり込んでいる間は、何も考えずにいられる。

でも、ふとした瞬間に襲ってくる罪悪感、焦りは、わたしを精神的に追い詰めました。身体が無意識にずっと緊張していて、気がつくと肩に力が入って変な姿勢になっている。夜はお酒を飲まないと眠れない。いくら寝ても、ずっと身体がだるい。新卒で入社してから今までの5年間、だいたいずっとそんな感じでした。

 

なにか物事が上手くいかない時、誰かのせいに出来れば楽です。でも、わたしの場合は、入社してから最初の2年半だけは毎日終電か始発で帰る生活をしていましたが、その後部署が変わったり子会社に転籍したりという時期は、残業は多くて2時間、何もなければ定時帰りという感じでした。

お金についても日々の生活に困る、ということはなく、少しの貯金をする余裕もありました。

 

この恵まれた状況で、自分の掲げた目標に対して努力ができない。

 

そんな自分を肯定する言い訳は思いつきませんでした。「あとはやるだけ」なのに、やれない。やる気はあるのにいざ実行に移すとなると、ただただ怠けてしまう。

 

傍からみていたら「やる気あんの?」って言っちゃう感じです。

そんな奴が起業なんかできるわけないし、失敗するに決まってんじゃん。って思いますよね? わたしも自分でそう思います(苦笑

 

 

それでも退職を決意したのは、

このままでは、「ずっとこのまま」だと気付いたからです。

 

8時57分にオフィスに着き、社員証でドアを開け、自分の席に向かいます。すると、同僚(同じチームのメンバー)は既に会社についていて、パソコンに向かって作業をしているのが目に入ります。

 

まだ20代なのにハゲている後輩、勤め続けて30年の白髪のおじいさん(役職なし)、見るからにオタク臭丸出しの赤抜けない坊主頭の30代のぽっちゃり男(歯周病のせいで強烈な口臭)。アイスの食べすぎで腹だけ出っ張った上司(昔はバリバリのCOBOLエンジニアだったけど、Javaは全然わかりません状態。さも得意げにネットで調べれば一発のLinuxコマンドを教えてくれる)。

 

ただ与えられた作業を黙々とこなし、なんの意味もないヌルイ雑談をかわし、昼にはコンビニ弁当を自席で食べながらネットサーフィンをし、ダラダラと8時とか9時(上司が帰る時間帯)まで残業し、自分たちより少しでも劣っている人間を見つけたらこれでもかというくらいに貶しまくる。

ちょっとでもミスする危険があったり、やったことのない作業を振られると、うだうだ言って誰も引き受けたがらない。

 

「何かあった時に責任取れって言われても嫌なんで」「~ができたら便利だけど、別にいますぐやらなくても困らないし」「とりあえず、~だけやっときました。高級対応はまた余裕があるときにでも」

彼らの口からでるのはこんな言葉ばかり。

 

まるで去勢された羊です。

わたしは女ですが、いつも「お前らホントにチン○ついてんの?」と心の中で唱えていました。

 

この中に自分がいる、という現実をどうしても受け入れたくありませんでした。だから、「わたしはいつか起業するから、この人達とは違うんだ」と自分に言い聞かせてきました。飲み会も全て断り、プライベートな質問にもほとんど答えず、朝礼中も無視して作業し、定時でさっさと帰るといった行動も、全てこの想いが原因です。

 

こうして「会社」とは適度に距離をとりながらも、起業には全く踏みきれないという中途半端な状態で、気が付いたら3年経っていました。

 

 

これほどまでに煮え切らなかったわたしが、こうして退職届を書いたのには、これまでの小さいけど行動してきたこと(小説一本書きあげて応募してみる、筋トレを60日間続けてみる、ハーフマラソンを完走する、初海外旅行に一人で行ってみる、駅前に立ってひとり署名活動をやってみる、、等)で少しずつ、自信がついてきたことも理由の一つです。

 

しかし、もう一つ、大きな理由があります。

 

先日、いつものように出社してメールを整理している時に「訃報」という件名のメールを見つけました。開いてみると、

「5月○日、~部の~さんが急逝されました。葬儀には会社を代表して~さん、~さんに参列していただきます。お悔やみ申し上げます」とだけ書かれていました。

 

亡くなった方は、話したことはないけれど顔は知っている、くらいの人でした。

それでもわたしは大きな衝撃を受けました。

 

これまで、学校で同級生が亡くなったり、親戚が亡くなったり祖父が亡くなったりと、「知っている人が死ぬ」ということは何度もありました。

 

しかし、これほどまでに「自分に近い死」はありませんでした。

同じオフィスで同じように働いていた従業員の一人が、急逝した。これは、わたしにも起こりうることなのだと、強く実感しました。

 

明日、なんらかの原因で自分は死んでしまうかもしれない。いつか起業するんだ!と言いながら、結局は会社に在籍したまま死んでしまうかもしれない。会社をやめて起業してからは自由で楽しい日々が待っているんだ、と思っている最中に何の行動も起こせないまま死んでしまうかもしれない。

 

人知れず死んで、メールで訃報を投げられておしまい。

 

そんな人生は絶対に嫌でした。

起業で失敗してもいい。何もしないまま死んでしまうなんて悲しすぎます。折角、健康で思い通りに動かすことができる身体があって、少しなら生活できるだけの貯金があるのに、踏みきれないまま死んでしまったら、絶対に死ぬ瞬間に後悔する。

 

その瞬間を想像しただけでゾッとしました。

だから、ようやく、小心者のわたしも、退職願を書きあげて印刷するまでに至ったのです。

 

 

~余談~

退職を決意したのは一昨日でした。土日の間にまたヒヨって気持ちが変わってしまわないようにと、実体のある形にした訳ですが・・・これはわたしの決意の追い風になる出来事があったからなんです。

 

実は、昨日悪夢を見ました。

 

女の顔をした怪物(恐竜っぽい皮膚や爪、尻尾があるのですが、姿形や大きさは人間の女に近く、顔は完全に人間の若い女)に、めちゃめちゃ追い回された挙句、お腹に紙疲れてそのまま内臓を食べられる夢です。

 

夢の中の私も何かの動物と合体した姿だったので、足はかなり速かったですが、その怪物はもっと速かったのです。

 

太い柱をぐるぐると回ったりフェイントをかけたりして逃げ続けていたのですが、ついに捕まりそうになったわたしは、とっさに自分のしっぽ(猫のに似てた)の先を噛みつこうとした女の口に差し込みました。

 

女はニヤリと笑って、それを食いちぎりました。

その顔を見て、私はハッキリと、「あ、ダメだ」と思いました。次に、「どうせなら楽に殺してほしい」と思ったのです。

 

女は一瞬動きを止めたわたしを押し倒し、お腹に噛みつき、肉を食いちぎりました。夢の中だからなのか忘れたのかわかりませんが、痛みは感じませんでした。ただ、食べられながら

「あぁ、さっき、尻尾に噛みつかれた瞬間にパンチでもしていれば、逆にこいつを殺せたかもしれないのに」

と思ったのです。そこで目が覚めました。

 

この夢からわたしが気付いたことは、自分は追い詰められたとっさの瞬間に「ダメだ」と思ってしまう人間である、ということです。小説や漫画の主人公は、追い詰められてやられそうになっても、ギリッと歯を食いしばって反撃します。

 

わたしはずっと、自分がそういう人間だと思い込んでいました。

でも違った。ただの夢ですが、あまりにも「あ、ダメだ」と思った瞬間や食べられながら後悔している瞬間が生々しかったのです。

 

実際にああいうシーンになったら、わたしは反撃することを考えられるだろうか?

 

たぶんダメだと思うんです。でも、それは今の弱い、煮え切らないわたしの話です。

 

自分の意志でこれまで築き上げてきたものを捨て、ひかれたレールから外れ、自分の頭で考えて自分の足で歩き始めれば、そんな自分は変えられると思うのです。この思いが冷めないうちにと、退職願を書きました。

 

長くなってしまい、まとまりのない文章で申し訳ありませんでしたが、ここまで読んで下さりありがとうございました。

今後も、会社を辞めてから何が起こって、何をしているのか。幸せなのか不幸せなのか。そんなことをこのブログに書いていこうと思います。