なぜ20代のあなたは実家に帰りたくないのか?
「たまには帰ってきなさい」
両親や祖父母と電話で話すと、必ずこのセリフを耳にしませんか?
果たして彼らは、本当に会いたいのでしょうか。
私は思うんです。本当に会いたいなら、向こうから会いに来るはずだと。
「(わざわざこっちから会いに行くほどじゃないけど)あなたの顔が見たい」
「(普通の親はみんな言ってるから言おうかな。)たまには帰ってきなさい」
私の耳には、こんな風に聞こえるわけです。
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本当は帰りたくない子供と、大して帰ってきてほしくない親
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突然ですが、知ってますか?
20代の非正規雇用者の割合は、ほぼ半数の42%。
2人に1人は月20万前後の給料しか得られず、
いつ職を失ってもおかしくない不安定な状況の若者が、2人に1人ということ。
実家が電車で2時間圏内にいたとしても、往復で2000円弱かかります。
2000円あれば、2日分の食費になるし、新しい靴や下着を買うことができます。
毎日残業続きでロクに休めていないサラリーマンなら、
いつもは5時間しか取れない睡眠時間を、2時間増やすことができます。
これを読んでいるあなた、前回目覚まし無しで起きたのはいつですか?
今の20代は忙しいし、お金も持っていません。
一方、両親や祖父母はどうでしょう?
養わなければならない子供は家を出て、
貯金は子供に比べるまでもなくあるだろうし、年金ももらえる。
専業主婦や定年退職していたら、時間は掃いて捨てるほどある。
私は特に、家で昼寝ばかりしている専業主婦の母親に
「会いに来なさい」と言われるのが我慢できません。
仕事中にかかってくる電話も、正直うんざりです。
何度もかかってくるから何かあったのかと思ってかけ直せば、
弟の嫁についての愚痴。
要するに、こちらの事情などお構いなしなんです。
あなたにも、思い当たる節があるのでは?
心配する振りをして、子供をゲロ袋(ストレスの捌け口)にする親が
今の日本には多すぎます。
休日をつぶして、交通費を払って、
顔を合わせれば愚痴、泣き言、文句ばかりの母親と
仕事のことで頭がいっぱいの父親に、
私たち20代は、会いに行きたいと思うでしょうか?
答えはNOです。
会いに行くメリットはなく、デメリットはあります。
行動経済学的には、この条件で人を動かすのはまず不可能です。
腐敗した生ゴミを他人の家に投げ込んで、
更にその住人に1万円払わせるのと同じくらい不可能です。
しかし実際には、まとまった休みには実家に帰るという20代は多い。
なぜか?理由は大きく2つにわかれます。
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なぜあなたは、貴重な休みを帰省に使うのか?
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①親には滅多に会えない(会わない)から
②なんとなく、会いに行かなければならない気がするから
①滅多に会えない(会わない)から
言い替えると「希少価値」です。価値、つまりメリットがあるのです。
「事故や病気で、もしかしたらこれで会えるのは最後になるかもしれない」
これは、
「セール最終日!グッチの財布が今だけ全品70%OFF!」
と言われてセールに行ってしまうのと同じ理由です。
両親は変わらず元気なのにもかかわらず帰ってしまうのは、セールが終わる日がわからないから。「帰れる時に帰っとこう」と考え、貴重な人生の時間を無駄にしてしまいます。
②なんとなく、会いに行かなければならない気がするから
「気遣い」や「思いやり」に似たもので、こちらは①の希少価値ほどわかりやすくはありません。
ただ、唯一はっきりしているのは
「親に会いに行かない子供は正しい。せっかくの休みを帰省に使うなんてバカだ」 とした場合、回り回って、自分が親になった時に子供が帰ってこなくなる可能性が高い、ということ。
一人でゆっくり過ごしたいけど、
お盆や正月には帰省するのが当たり前だと思っている人。
一度、自分はどういう理由で帰省しているのか、
考えてみるのも良いかもしれません。