三ツ星★★★人生

勢いで会社を辞めた元女SEのその後

なぜ、エンジニアの深夜残業はなくならないのか?

なぜ、エンジニアは当たり前のように深夜まで働かなければならないのでしょうか?

 

前回の裁量労働制のワナという記事を読んで下さった方はおわかりだと思いますが、多くのエンジニアが当たり前のように深夜まで働かざるを得ないこの現状は、必然の結果と言えます。

 

諸悪の根源は、「裁量労働制」のみなし残業代という制度だと考えます。

 

 

裁量労働制とは、あらかじめ平均的な残業時間(例えば30時間分)の代金を基本給に含めて支給するという制度です。

 

仕事が早い人は30時間分の残業代をタダでもらえる、ということです。

逆に、30時間以上残業した場合も残業代は0円ってことです。入社前の方は会社によ~~~~く確認した方がいいです。

 

会社側の言い分としては、

「我が社の社員には、働く時間を自分のコントロールする裁量を与える。
実力があって仕事が速い人は、たとえ定時で帰っても毎月30時間分の残業代を出す。実力がない人には、どれだけ作業が遅くても残業代は30時間分しか出さない」

 

というもの。つまり、毎月の残業時間が200時間を超えても「お前の仕事が遅いのが悪い」ってこと。

 

はっきり言って、こんな制度を全社員に適用する時点でまともな会社じゃないです。

だって、「自分の裁量」で仕事をしているサラリーマンなんて、本当にひと握りでしょ。それを、右も左もわからない新卒にまで適用するのはどう考えてもおかしい。新卒にどれほどの裁量権があるというのでしょうか?

 

 

「本当に裁量権を持っている」リーダーや管理職は、なぜ無茶なスケジュールで案件を取ってくるのか?

無能だから?

違います。

 

リーダー陣、つまりメンバーの人件費を「人月」でコスト換算して利益を計算する人達は、深夜に社員に働いてもらう方が得なんです。

 

なぜなら、深夜の方が社員の単価が安いから。

時給換算した給与が2,000円とした場合、深夜残業で3時間働いたら、

2,000(円)×3(時間)×1.5(深夜割増)=9,000円
ではなく
2,000(円)×3(時間)×0.5(深夜割増)=3,000円
なのです。

 

深夜割増の1.5のうちの1.0は、基本給に含まれているので
残業代として追加で払われるのは0.5の分3,000円だけなんです。

3時間働いて3,000円って、時給1,000円ですよ。

 

通常2,000円/hの人が、深夜では1,000円/hで使えるんです。

 

だから、無理なスケジュールで案件を受けてくる。

そして「こんな大変な仕事をこんなに短期間でやり遂げるなんて、キミは素晴らしいリーダーだ」と管理職が評価される仕組みになっています。

 

その下にいくらSEの屍が積み上げられてても、上の方でキャッキャしている管理職は気にしません。気にするような人は、そんな会社で管理職なんかにならないから。


これが、SEの深夜残業はなくならない理由です。

今の働き方に疑問を覚えるSEの方は、給与規定を読み返し、給料、深夜時間分の残業代を時給換算してみてください。

 

自分の命を削って働くのがバカバカしくなること請け合いです。